Q1 ウォーミングアップ、クーリングダウンは、なぜ必要なのですか?
A1  ウォーミングアップ、クーリングダウンは、けがの予防だけでなく、からだを強い運動に適応させるために、また、疲労を翌日に残さないためにも必要です。(川本和久)
Q2 ウォーミングアップでは、どんな運動を行ったらよいですか?
A2  体温が1℃上昇すると細胞の代謝率は、13%増大します。体温が上昇すると細胞内の物質の交換が早い速度で進みます。高温では、血液から組織への酸素の交換が速くなり、神科の情報伝達も速くなります。重要なことは、筋肉の温度を高めることです。筋作業による熱生産は、安静時の10〜20倍といわれています。ウォーミングアップでは、ランニングや体操などの全身運動によって筋温を高めましょう。
 ウォーミングアップ無しに比べると100m走では0.5〜0.6秒(3〜4%)の差があります。サウナ風呂などで受動的に体を温めただけのウォーミングアップは、体の表面部分が温まるだけで、効果ははるかに劣ります。(川本和久)
Q3 ウォーミングアップの持続時間と強度はどのくらいがよいのでしょうか?
A3  環境温度と衣服の量によって異なりますので、日頃から、自分にとって最適な状態を把握しておきましょう。梅雨時などに熱が逃げないような衣服でウォーミングアップを行うと、体表面の温度だけ高まって、身体内部の温度が上がらないことがあります。冬季など外気温が低いときは衣服によって熱の放散を防ぐようにしましょう。理想的な体温は、約38.5℃です。ただし、筋温は、39℃かそれ以上となっています。体温上昇を招くには、15〜30分問の比較的高いエネルギー消費率で行うことが重要です。そのためには、12〜14Km/時のスピードのランニングなどが必要です。ジョギングは10Km/時くらいのスピードなので、もう少し速い走速度を必要とします。(川本和久)
Q4 ストレッチングはどのように行えぱよいでしょうか?
A4

 ストレッチングは、反動を使う動的なものと反動を使わない静的なものがあります。ねらいとしては、関節可動域の拡大、傷害の予防、筋肉痛予防などがあげられます。関節可動域の増大の効果は、動的ストレッチングが静的なものより効果は高くなりますが、通説としては、静的ストレッチングが進められています。
 その理由として第一に神経生理学的理由(反動をつけると伸ばすべぎ筋肉が伸長反射をおこし、逆に緊張する。)第二に動的ストレッチングは、遅発性筋肉痛を起こしやすく、傷害の可能性が高いことがあげられます。主観的筋肉痛強度は、静的ストレッチングが高いという報告があります。
 また、神経生理学的根拠に基づいたPNFストレッチングなどの動的ストレッチングも有効ということがいえます。ただし、過伸展による傷害に注意してください。(川本和久)

Q5 ウォーミングアップ終了から競技開始までの時間はどのくらいがよいのでしょうか?
A5  数分間が理想です。15分以上ではいけないという報告がありますが、種目の特性やルールで変動があります。45分以上時間が経つと筋温が戻ってしまい、ウォーミングアップの有効な効果は消失します。ウォーミングアップ終了後は、競技開始直前まで、暖かい衣服を着ることが大切です。
                                       (川本和久)
Q6 持久性の運動のためのウォーミングアップを教えてください。
A6  長距離走のときなど身体運動開始の数分間、その負荷をきつく感じたり、呼吸困難を覚えることがあります。やがて、それがおさまり運動が楽に感じられることがあります。それが、セカンドウインドと呼ばれるものです。
 原因としては、@運動開始時には、科学的な呼吸調整の時間的ずれが生じるため、相対的低換気になること。及びA呼吸筋(肋間筋)への酸素運搬が不十分なため、横隔膜が低酸素になることがあげられます。
 Aの場合は、脇腹に疼痛がおこります。しかし、充分なウォーミングアップの後では、疼痛がおこりにくいので、持久性の運動を行うときには、ウォーミングアップは、欠かせないものとなります。(川本和久)
Q7 筋力をつけるには、どのようなトレーニングをすれぱよいでしょうか?
A7

 筋線維は、大きく分けて沍^(遅筋)、型(速筋)に分類され、型線維の方が発揮張力・収縮速度ともに沍^線維よりも優れています。基礎的な筋力を向上させるには、より多くの型線維を動員し、肥大させるようなトレーニングが必要となってきます。
 具体的には、強い負荷を筋に与えて、最大限の筋収縮を誘発するようなトレーニングを行うことが一般的です。この場合、少ない反復回数で、セット間の休息を十分に取ることが必要です。
 尚、骨が完全に伸びぎらない時期(成長期)に高強度の筋力トレーニングを行うと、障害の原因となるので注意が必要です。(中澤 謙)

Q8 スピードをつけるには、どのようなトレーニングが必要ですか?
A8  単位時間内に行うことのできる運動能力(パワー)をあげるためには、スピードを上げることが必要です。
 スピードを上げるには、基本的に、@「負荷の減少」やA「最大筋力の向上」が必要になってきます。
 さらにパワーを効率よく伝えるための「弾力性(筋の伝達・流し)のトレーニング」や、筋力とパワーの橋渡しのための「プライオメトリックトレーニング」正確な過重負荷を身につけるための「スプリント・ローディングトレーニング」、最後までスピードが落ちないようにするための「スピード持久力トレーニング」、効率のよいフォームでの「スキルトレーニング」、正しいフォームをハイスピードでコントロールするための「オーバースピードトレーニング」などに、個人差を考慮しながら、漸進的に取り組む必要があります。(中澤謙)
Q9 持久力をつけるためのトレーニングは、どうすればよいのですか?
A9  スポーツの種類や距離・場面によって求められる持久力は違うため、目的に沿ったトレーニング方法を選択する必要があります。
 サッカーのようなダッシュとランニングが組み合わさるような種目の場合には、乳酸除去能力の向上を目的としたトレーニングを組み込む必要があり、ハイパワーで動き続けられる時間を延ばしたい場合には、無酸素系の筋力を高める耐乳酸性のトレーニングを組み込む必要があります。
 一般的には、持久力を高めるトレーニングといった場合有酸素系能力の向上を目的としたトレーニングのことをさします。この場合には、筋で乳酸が生成される割合よりも分解される場合が多い負荷レベルでのトレーニングが必要になります。
 いずれの場合にも、個人差があるので個々人の負荷(走スピード等)と心拍数や血中乳酸値等の関係を客観的指標としておさえておくと、効果的なトレーニングメニューを組み立てることができます。(中澤謙)